夏の自由研究、受賞経験者に聞く
「自分の好きなことをテーマに」
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1人目は東京電力主催の「サイエンス・グランプリ」で「文部科学大臣賞 最優秀作品グランプリ賞」を獲得した東京都中野区の大月綾乃さん(14)。中学2年生だった昨年、「車いす革命」と題した自由研究で車いすが段差を越えやすく軽い力で動く独自の改善策を考えた。研究では自ら車いすを使って問題点を検証。てこの原理などを用いた考察や実験も、審査員から「科学的」と高く評価された。
――テーマはどうやって決めたの。
「小学生の時にケガで車いすを使った時、上半身だけで動かすのがとても大変だった。昨年の春、駅で車いすでの移動に困っている女の人をみて、それを思いだし、楽に動かせる方法を考えようと決めた。自由研究は普段できないことができるので、テーマは自分が好きなこと、興味を持ったことを選んでいる」
――実際の研究にはいつぐらいから手をつけた? 苦労したことは。
「実験など全体の流れは夏休み前に考えていた。外で車いすを使うのに風が強くなく天気が良い日が何日も必要だったので実験は夏休みに入ってすぐ始め、8月の真ん中くらいまでに終えた。人がいない時間に実験するために早起きするのが大変だったが、自分で決めたことだから頑張った」
――周囲の協力は。
「自分の力でできる範囲のことをやろうと思ったので、ほとんど一人で頑張った。親には車いすをレンタルするときに助けてもらった。車いすの構造を調べるため、貸してくれた人に分解することを認めてもらった」
――自由研究のテーマ決めについて、友達から相談されることはある?
「相談されることは多い。『自分の力でできる身近なことで、好きなことをやるといいよ』と答えている。興味があることでまとめれば達成感もあると思う」
――「サイエンス・グランプリ」のウェブサイトは活用したか。
「私の場合、実際にまとめ方などのアドバイスを見たのは受賞した後だった。それでも、残された課題を書くのが良いなど、新しく知った点もあった。自由研究をする人にとって役立つと思う」
もう一人は昨年、アサガオの開花の仕組みを調べた自由研究「開け!アサガオ」に取り組んだ東京都三鷹市の河本理帆さん(12)。つぼみが明暗を感じて開花している仕組みを知り、つぼみのどこで感じているのかと疑問に思ったのが研究のきっかけ。ベネッセコーポレーション主催の「もっと!チャレンジ全国コンクール」に応募。様々な条件を実験で試している姿勢が「自分のできる最大限の努力をしている」と審査員から評価され、小学5年生部門の優秀賞に選ばれた。
――テーマはどうやって決めたの。
「アサガオを育てると決まって朝に咲くことが、ずっと不思議だった。本でそれがつぼみが明暗を感じているからだと知ったが、つぼみのどこで感じているかは、本やインターネットで調べても載っていなかった。自分で調べようと思い、お母さんに相談して夏休み前の5月くらいにアサガオを植えた」
――コンクールに応募しようと思ったきっかけは、
「初めて応募したのは(帯を180度ひねって両端を貼り合わせてできる輪の)メビウスの帯について調べた4年生のとき。苦労したので学校への提出だけでなく応募したら、賞がとれてうれしかった。5年生でも賞をとりたいと思って頑張った」
――家族や周りの人には相談したか。
「メスの使い方や(研究リポートの)書き方をお母さんに教えてもらった。まとめ方は学校で宿題を出されるときのプリントにも書いてあった」
テーマは夏休み中に終わるという条件で、相談に乗りながら本人に考えてもらった。質問に対しても協力したが、まず『どうだと思う』と本人に聞くようにして、本人が考えるように気をつかった。最近の小学校の自由研究がどんなものかわからない部分もあったので、ウェブサイトに載っているほかの子の作品もみた。テーマをどう選び、どうまとめており、審査員がどうコメントをしているか参考になった。
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